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symbianスマートフォンの終焉 その3~N-GAGEの敗北 [携帯電話]

■Series60の進化と端末の差別化
 携帯電話にアプリケーションをインストールするという技術革新を見せたノキアの次の手は、端末だった。これまでノキア端末の型番は4桁の数字でなりたっており、千番代の数字が大きいほどハイエンド機という様相だった。その4桁で表す端末とは別に、マルチメディアに特化したハイエンド機を『NSeries』、ビジネスに特化した端末を『ESeries』として差別化をはかった。
 symbianOS Series60も進化を遂げ“Series60 2nd edition”となり、初めて登場したNseries端末が『N90』だ。初めてのSeries60搭載機『7650』から3年後の2005年に登場した『N90』の液晶サイズは『7650』の倍となり、200万画素の写真撮影やビデオ撮影を全面に押し出して登場した。
 2005年後期には“S60 3rd edeition”となったOSを搭載したEseries端末も登場。「E60」、「E70」、後に日本でも発売される「E61」の3機種だ。特に「E61」はブラックベリーのようなQWERTYフルキーボードを備え、液晶も320×240、2,8インチと大型化された。書類作成にも支障はない大きさとあって、ビジネスマンの間で人気を博すこととなる。
 これまでより分かりやすい型番の導入により、ユーザーは自分に合った端末を見つけやすくなった。オタクであるならば「Nseriesの一番新しいヤツ」、ビジネスマンならEseriesといった具合だ。この端末の差別化も、symbianS60スマートフォンのシェア拡大に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。
 そしてノキアは、もうひとつ大きなプロジェクトを走らせていた。しかしそのプロジェクトはいささか早すぎ、進化が遅かったのかもしれない。

■モバイルゲーム市場の開拓
 2003~2004年にかけて、ノキアは携帯ゲーム機を販売していた。それも携帯電話機能がついたものだ。名前は「N-GAGE」。読みは鉄道模型の「エヌゲージ」ではなく「エンゲージ」。スタートレック ネクストジェネレーションにおいて、ジャン-リュック・ピカード艦長が言う「発進」という決め台詞と同じである。
 この端末、ゲーム機もSeries60を採用していた。ゲームはSDカードの前身となるMMC(マルチメディアカード)に入ったかたちで販売されていた。世界中で300万台が販売されたという「N-GAGE」だが、2つの機種を発売したままフェードアウトしてしまった。携帯ゲーム機のかたちをした携帯電話は、思ったほど受け入れられなかったようだ。
 しかし2005年、ノキアはこの「N-GAGE」をスマートフォンで利用できるよう開発を続けていることを表明した。そして2008年、正式に「N-GAGE」はアプリケーションとして生まれ変わった。すでに初代iPhoneが発売されてから1年が経過しようとしていた時でもあった。

■掴みきれなかったモバイルゲームユーザー
 この「N-GAGE」アプリケーションは、Nseriesの端末にインストールが可能であった(ただしsoftbankから発売されたX02NKにはインストール不可だった)。N-GAGEを立ち上げることによりゲームの購入、プレイが可能となっていた。一番の魅力は用意されたゲームタイトル。iPhoneでゲームをする方なら聞いたことがあるであろう「アスファルト」シリーズや「FIFA football」といったゲームがそろえられ、日本のメーカーも参入。N-GAGE版「メタルギア」に至っては、iPhoneのそれとは違い“本物の”メタルギアだった。実際にプレイするゲームはどれも作り込まれており非常にやりがいがあった。N-GAGEアプリケーションがあれば、携帯ゲーム機はもう必要はなくなるほどだ。
 それでもこのN-GAGEアプリケーションもiPhone発売以降の荒波には耐えることができなかった。2009年末にはN-GAGEサービスの終了が告げられ、2010年に幕を下ろした。
 その理由のひとつにモバイルゲーマーの動向があった。実際に初代N-GAGE端末は300万台を販売したことからも、少なからず携帯電話でゲームがしたいというモバイルゲーマー層は確かにいた。N-GAGEでゲームをしていた人々はiPhone3G登場後、そちらに移っていってしまったと言われている。タッチパネルでの操作になるがモニターサイズ3.5インチは、ゲーマーにとっては魅力に移ったはずだ。同時にiPhoneユーザーが増えるにつれ、ゲームメーカーもそちらの市場を狙うのは当然の動きだ。人気タイトルがiPhoneでもプレイできるとなったら、ユーザーとすればより大きい画面でのプレイを望むのは必然だった。

■早かったもの、遅かったもの
 初代N-GAGEは確実にモバイルゲームユーザーを引きつける端末だった。N-GAGEアプリケーションも当初は魅力にあふれ、メーカーも収益が見込めると考え参入をしてきた。しかしiPhoneのモニターを見た後にNseriesのそれを見ると、やはり小さすぎだ。いくらタイトルが魅力的でも、端末の進化なくしては勝利はなかったのだ。
 早すぎたモバイルゲーム端末の誕生、遅すぎだアプリケーション化。未だに生まれていないiPhoneを超えるような、あるいは同程度の端末。すでにノキアのスマートフォン市場での負の連鎖は、N-GAGEを通じて見えていたのかもしれない。誰よりも早く出港したノキアは目的地に達することなく、今港に戻ってきたばかりだ。 


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